「つながる」って?!

 私は今年度から農業大学校の教員になった。学生を教えるのは生まれて初めてである。
 授業や実習で、学生に知識を教えたり演習させたりしてきたのだが、今まで手応えを感じることができずにいた。10ヶ月近くを経過して、この体たらくは情けないの一語に尽きる。
 
 詳しい話は割愛するが、今日、ある調査を学生にやらせていたとき、関連して出た質問に答える代わりに、教室にあった本を参考書として紹介した。すると、それまでしょぼっとしていた学生の目が、これまでにない輝きを帯びたのだ。なんと笑みまで浮かべているではないか。正直驚いた。
 
「つながった」私は教育者1年生ながら確信した。その学生の頭の中で何かが「つながった」のだ。実際は、調査で拾い上げた複数の固有名詞が、その書物の中にあったというだけなのだが。
 
 成人前後の学生への教育とは、いわゆる初等教育とは異なり、知識の伝達もさることながら「つながり」を橋渡しすることではないかとそのとき思った。つながる瞬間の喜びを味わうほどに、もっともっと学習に貪欲になり、積極的な行動が採れるようになるのでは。
 
 他人から見れば拙く、笑止千万に思えるかもしれないが、教育者らしきことを今日ようやくなし得た――そんな思いに至り、とても嬉しかった。

津山市佐良山で講演会

昨日(1月20日)。津山市佐良山で、江戸時代を中心とした天文学や暦の話をさせていただいた。安倍晴明、渋川春海、徳川吉宗、麻田剛立ら、我が国の天文学や暦の進展を語るうえで欠かせない人物を紹介しながら、1300年の流れ(大袈裟!)を説明したつもりだ。
聴講に参加された15名のみなさんは、いずれも目上の方ばかり。月に一度集まって歴史や風土の勉強会をされているそうである。「還暦を過ぎてから歴史に興味を持ち参加している」と語る方もおられた。
いずれの参加者も、拙い私の話に熱心に耳を傾けて下さり、頭の下がる思いがした。その中で92才の女性が車椅子に乗って参加されていた。年齢をお聞きして意外に感じるほど、かくしゃくとされている。背をすっと伸ばされ、1時間45分の講演の間、一瞬も姿勢を崩されなかった。さらに質問のときに注がれる鋭い視線に圧倒された。
そのほかの参加者からも数多くの質問が出て、とても中身の濃い時間が過ごせた。
好奇心や知識欲、向学の心をいくつになっても持ち続けるって本当に素晴らしい。私も、この日にお会いできた先輩方のように生きていきたいと思う。

それにしても自分は幸せ者なあと思う。執筆活動をしているがゆえに、今回のような素敵な機会に恵まれるのだから・・・。この気持ちをずっと持ち続けられればいいのだが、つい忘れたり揺らいだりする。六十を過ぎて、まだまだである。

なお、今回の勉強会を企画されたのは、公益財団法人モラロジー研究会社会教育講師の柴田美智子さんである。柴田さんは、昨年暮れに「首と腰の狭窄症手術体験記」を自らの体験をもとに上梓されるなど、著作活動もされている。


今年の年賀状ギャラリー2

実は年賀状ではないけれども
毎年正月に、葉書に刷った錦絵を頂いている。
今年は江戸後期の浮世絵師・渓斎英泉の美人画を頂いた。
着物の柄の鮮やかな色合いがとても素敵だと思う。いつまでも見ていたくなる。
スターウォーズのキャラみたいな狸も可愛い。
調べたところ「当世好物八契」という題の絵だった。
英泉は多才な人物で、絵のみならず戯作の作品も残した。
絵では「春画」をたくさん描いていることで知られている。
葛飾北斎に私淑していたらしく、時代的には鍬形蕙斎にも重なる。
大袈裟かもしれないが、知の拡がるものに出会えた時って幸せだ。
今年もいい正月だった。


今年の年賀状ギャラリー1

今年も頂いた年賀状の一部を紹介したい。

まずは時代小説作家仲間である藤井龍さんからの年賀状。
龍さんは毎年、次女・出水翼さんの作品を年賀状に載せている。私は、翼さんの油絵の緻密な描写と寂々とした絵の雰囲気が大好きだ。
昨年は、大阪で開かれた個展にお邪魔する機会があり、いろいろな作品を拝見できた。より多くの方に出水翼さんの絵を知って欲しいと思っている。