殺生石って知ってますか4

次に妖狐が姿を顕したのは、再び中国でした。今度は、褒姒(ほうじ)といいう名の、これまた絶世の美女に化けて、西周の幽王の許へやって来たのです。当時、幽王には申后という后がいましたが、王は美貌に魅せられ、申后を廃して、彼女を后としました。

ところが、褒姒はどんなことがあっても王に笑顔を見せてくれないのです。

愛する女の笑顔ほど、男を癒やし、鼓舞するものはありません。その逆もしかり。「何で儂に笑い掛けてくれぬのじゃ。褒姒。この儂が好かぬ、と申すのか」冷たい表情に突き当たる度に、王は身悶え、地獄に落とされたような気がしたでしょう。

王の愛は純粋で、思春期の胸中を見るようでもあります・・・日頃から仏頂面の妻を見慣れてしまい、突然、笑い掛けられれば、「何だ?」と、身構えるような状況とはちょっと違うようですね。

さあて、笑顔を見くてたまらない王は、様々な手段を用いました。高級な絹を裂く音を聞いた褒姒が、フッと微かに笑ったので、幽王は狂喜して全国から大量の絹を集め、引き裂いたものです。しかし、その効果は長くは続きませんでした。

そんなある日、何かの手違いで狼煙(のろし)が上がりました。「すわっ、一大事だ!」諸侯が、周の王宮に大慌てで集まりました。すると、その様子が面白かったらしく褒姒が笑ったのです。それを見た幽王は、「これだっ!」と手を打ち、有事でもないのに、ばんばん烽火をあげ、諸侯を集め始めました。

「またかよ。もうだまされないぞ」諸侯に、そんな思いが募った時です。后の座を追われた申后の一族が蛮族と手を組み、周に反乱を起こしました。驚いた幽王は、有事の狼煙を上げます。が、諸侯は、当然、本気にしません。結局幽王は殺され、西周も滅びました。

さてさて二国を滅ぼし、一国を滅亡直前まで追い込んだ妖狐は、ついに目を日本に向けます。

moss2007.shinmin.tc.edu.tw 640×349 – 褒姒一笑傾國.JPGより


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