新刊本(3月7日発刊予定)『悪采師』の主人公・六趣斎音吉とは

大審院判事の尾佐竹猛が1925年に著した『賭博と掏摸の研究』という本があります。
この本は「賭博の方法やイカサマを古今に渉って現在行われている手段までも公開した、跡にも先にも類のない天下一本の奇書」(Googlebooksのレビュー)です。20130730_855ae9

六趣斎音吉(ろくしゅさい・おときち)は、『賭博と掏摸の研究』の中で以下の通り紹介されています。
「六趣斎音吉といふ賽作りの名人がゐてこの人の作った賽転はどこに種も仕掛もなく、而も丁半自由に好める片面を出すことが出来たというから賽作りの腕前としては非常に優れたものと思はれる」

江戸中の博徒の大親分が、専属で働かないかと、大枚を積んで音吉を誘いました。専属で働くとは、すなわち飼い殺し――いかさま賽子づくりの技術を独占する契約です。
ある親分は一月百両でどうか、と、持ち掛けたとか。現在の金額に換算すると、1,280万円(「江戸の卵は1個400円」光文社新書より)ですから、今で言えば一流のプロ野球選手並みですね。
ところが音吉は、全て断りました。職人としての清々しい気質が窺われる逸話です。

初めて、この部分を読んだときに、いかさま賽子作りに全てを捧げて没頭する音吉の姿が見えた気がしました。
とても惹かれました。音吉を主人公にした小説を是非とも書きたいと思ったのです。


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