実感! 体感! 舎密開宗(せいみかいそう)

「実感! 体感! 舎密開宗(せいみかいそう) 現代化学者が語る宇田川榕菴(ようあん)のすごいところ」と題した講演会が、津山市の洋学資料館でありました。
「舎密開宗」は、江戸後期の津山藩医である宇田川榕菴が、洋書をもとに著した我が国初の本格的な化学書です。現代の日本の化学研究は世界に誇る水準にありますが、その礎になったとも言える意義深い書でした。P1020622

「舎密開宗」の現物です。いつもは博物館に展示されており、写真撮影不可なのですが、この日は、ガラス越しでない実物をしっかり見る+撮ることができました。

 

 

当日の講師は、津山工業高等専門学校の廣木一亮准教授でした。
先生は、「たのしい化学実験」ブルーバックスの中で紹介されていた電気分解実験の図を見たことをきっかけに化学に目覚めました。その図こそが、「舎密開宗」に書かれていたものだったのです。
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左上の図が、廣木先生の運命を変えた!
「ボルタ電堆によってアルカリを分解する方法」として示されているところ。

 

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現代の実験器具を用いて、「舎密開宗」で示されている電気分解実験の再現も行われました。さすが化学者。なお廣木先生は、ノーベル化学賞受賞者の白川英樹先生の最後のお弟子さんだそうです。

 

 

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講演では、「舎密開宗」の内容が、鎖国にあった江戸時代の日本で書かれた本でありながら、世界での先端情報が素早く取り込まれている、と言及をされました。

 

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当日の展示物の一つ、蘭引(らんびき)。蒸留装置です。一番下の槽に焼酎を入れ、一番上に氷を入れておくと、真ん中の口から蒸留されたアルコールが出てきます。実際にやってみたところ、80%程度のアルコールが得られたとのこと。この濃度が最も殺菌力が高いのです。
なお、写真の蘭引は、備前焼作家の細秀山(きのしゅうざん)先生が再現された作品で、津山洋学資料館に寄贈されたものです。
備前焼を直接火にかけると割れてしまうのですが、秀山先生は割れない備前焼を作ることができるそうです。

美作の歴史と備前の匠のコラボ。岡山ならではの味のあるお話だと思います。

ちなみに、宇田川榕菴は、拙著『悪采師』(朝日新聞出版)に、重要な脇役で登場しています。

津山には榕菴のほかにも、素晴らしい洋学者がいます。当日の会場では、「津山の洋学者を主人公にした小説を書いて欲しい」との励ましの声をいただきました。


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