作家の本棚4「心を打つ歴史書」その2

img024(つづき)本誌を読んで感じるのは、著者の民衆に向けた暖かな眼差しと、専横政治を行って欲望のまま振る舞った明治政府の中心的人物たちへの怒りです。
専横に異を唱えた民衆のリーダーが新政府の宰相たちに挑みますが、次々と弾圧を受け、身の毛もよだつ拷問を受けて死んだ人もいました。
新政府を牛耳っていた人々は、政策を貫徹しようとする意欲は旺盛ですが、反面、民衆の声や、苦しみ、死に対しては、恐ろしく無関心でした。
明治に入ってから東京の住宅事情がひどく悪化した点、コレラが発生すれば膨大な犠牲者が出ると知りつつ、衛生改善の予算を大幅に削って数万人を死に至らしめた点など、例はいくつかあります。
民衆の声や、苦しみ、死に無関心に政治を進めるという思考は、後継者に血筋としてしっかり受け継がれているなあと、昨今の政治を見ると強く感じます。
コレラ患者は野晒し同然の場所に集められ隔離されました。苦悶の呻きで耳を塞ぎたくなる場から、ほんの数キロも離れていない鹿鳴館で、明治政府の権力者たちは舞踏を楽しんだのです。
具体的な内容について紹介すればきりがありませんが、読めば読むほど、怒りがこみ上げてきます。この歴史書は、私の感情を激しく揺り動かしました。


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