作家の本棚3「心を打つ歴史書」

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『中公バックス日本の歴史 21近代国家の出発』(初版昭和46年)をぜひとも紹介したいと思います。『中公バックス日本の歴史』は、中央公論社が、全26巻で日本の歴史を解説したものです。岡山歴史研究会の会員の方が住居を移転されるに際し、平茂寬は幸運にも本シリーズの全てを譲って頂きました。
なかでも本編は、色川大吉氏の執筆によるもので、シリーズものの歴史書の一巻であるにも拘わらず毎日出版文化賞特別賞を受賞しています。

読み始めて、冒頭から圧倒されました。

「シベリアの曠野を二台の馬車がよこぎっていた・・・(略)・・・ペテルブルグを出発した榎本武揚は・・・(略)・・・カザンからペルムまでの一千露里を馬車で飛ばし、ウラルの山脈を越え・・・(略)・・シベリア官道数万キロを突っ走った。 ザ・バイカルを行くときは、八月末だというのにすでに秋色深く、満目蕭条、陽が落ちると気温は零度に下がった」

――まるで小説を思わせる書き出し。寒々としたシベリアの大地をひた走る馬車の姿が目に映るかのような描写です。そして、格調高い語り口。
榎本武揚はご存じの通り、土方歳三ととともに、旧幕府最後の勢力として、五稜郭にて新政府軍と戦った人物です。
この本については中身についても語りたい。二回に分けて紹介します。


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