作家の本棚10「幕末から明治にかけて活躍した剣客たち」

img030『明治撃剣家 風のごとく発す』堂本昭彦著(徳間文庫)は、幕末から明治にかけて活躍した剣術家を取り上げたドキュメント小説です。剣道の有段者でもある職場の友人から紹介され購入しました。8人の剣客が紹介されていますが、いずれも魅力的な人物で読み応えがあります。

明治十年代には、警視庁を中心とした撃剣(剣道)の勢力争いがありました。冒頭から、当時の撃剣大会への熱の入れようが伝わってきます。
撃剣県令(知事)として知られた籠手田安定(名前からして剣道そのもの)が、剣客高山峰三郎を擁して警視庁剣撃に挑戦するところ(滋賀県庁が警視庁に挑戦状を叩き付けたと想像して下さい)などは、当時の県令の権力が窺われ、興味深いものがあります。

撃剣の場面ばかりでなく、8人の剣客それぞれの人生が描かれています。高山峰三郎は好きな道を全うしながらも、惨めな末路を進みました。三十年間熊本県警の警察官でいながら、一度として逮捕をせず、全て説諭のみで放免した逸話のある井上平太の話など、読みどころも多々あります。


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